第2楽章 三木 颯太の場合

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「リーダー!はっぴばーすでい~♪」 三木 颯太がご機嫌な様子で、両手に抱えたデッカい箱をそうっと机に置いたのは、codeのリーダー内海 玲の誕生日にたまたま空いた、休憩時間のことだった。 名指しで呼ばれた彼は、読みかけの漫画から黙って目を上げた。 目の前には、満面の笑みを浮かべた颯太と、眉間に皺を寄せた西 克己。少し離れた場所から、何事かと顔を見合わせているのは、加藤 亮介と小形 裕也だ。 「ねぇ、ねぇ、今日はリーダーの誕生日でしょ!僕さぁ、いつもお世話になってるリーダーに、感謝の気持ちを込めたプレゼントを渡したくて色々考えたんだよ。そしたら西くんがさ、リーダーの好きな物にすればいいだろって。だから、ほら!!」 みんなも見て見て~♪と、得意げに笑う颯太は、自分でデッカい箱のリボンを解きぱかっと蓋を開けた。 「えっ、それお前が開けちゃうの………?」 と、呟いた小形の肩に、加藤がポンと手を置き首を振っている。 見れば、西の眉間の皺は、益々深くなっていた。 内海はと言えば、ただことの成り行きをじいっと傍観している。 「じゃじゃ~~~ん!!リーダーの大好きな茄子!を使った、茄子ケーキで~す!! 僕、頑張って作ったんだよ!」 その瞬間、ほめてほめてと飛び跳ねる颯太を無視した四人から、どよめきが走った。 image=493710025.jpg
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