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ピィッと短い笛の音がしてまた風が変わった。
ブルッと寒さで身が縮む。
目を開けると、サッカー部がランニングを始めるところだった。
涙を拭って立ち上がる。
ありがとうございました…
今やっと、卒業できたような気がした。
ノブ君から、ではない。
子どもだった『自分の気持ち』から、だ。
これからは。
ノブ君に会いたくて寂しくなっても。
ノブ君に会えなくて悲しくなっても。
誤魔化さずに泣く。
寂しい時は寂しい、って言って。
悲しい時は悲しい、って言って。
でも、泣いたあとは幸せだったことを思い出して笑う。
そうして、泣いて。笑って。
ノブ君の分も生きていくんだ。
スカートの裾を払うとグラウンドに背を向けた。
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