初陣編_弐拾

3/9
前へ
/40ページ
次へ
  『何かいわなければ、行ってしまう・・・』 そう焦れば、焦るほど、言葉は出ない。 去っていく誰かを引き留めようとした事がなかったから 誰かとの絆を自分から結ぼうとした事がなかったから こんな時、どうしていいか分からない。 ここまで来たのに、 何度も何度もその言葉を唱えて、練習したのに 結局、言葉が出ない。 だから、本当に情けないけど ジッと相手が声を掛けてくれるのを待つ。 ・・・許してくれるのを身を竦めて、待つ。 私はそんな卑怯な人間。 でも、やっぱり、鏡は優しかった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加