初陣編_弐拾

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  心細さに千切れそうになった時 鏡が突然、私の身体を引き寄せ、抱き締める。 驚き、反射的にもがくと、鏡が弱々しく囁く。 「・・・何もしないから・・・」 その声に驚きも焦りも、気恥ずかしささえ消えて・・・ ふわりと気持ちが落ち着く。 本当はこの胸に包まれる度、不思議なほど安心して 彼の体温を感じると、心は穏やかに暖まる。 もうずっと前に気付いていたけど、気付かないふりをした。 それを認めてしまえば、 深みに嵌るような気がしたから・・・ それはとても、とても、都合が悪かった。
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