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「見えた!3分後にねーちゃんの砲撃がココ直撃!」
「なっ!?あの子は鬼ですか!」
「いつもの事だろ!それよりさっさと逃げた方がいいと思うけどな!」
「ああもう足止めって何だったんですかね......」
ぐだぐだ言っていても仕方ありません。私は運転はからっきしなので仕方なくレトレスのバイクの後ろに乗させて貰いました。
ヘルメットが無いのかと聞くと「そんなもん髪型が崩れるだろうが!」などと言うので後で無理にでも被せようと思います。買いに行くのがかなり面倒ですが。
「オイドのおっちゃん、しっかり掴まれよ!」
「言われずともそうしますよ」
「オーライ、ゴー!」
私の周りには運転の荒い人しか居ないんですかね。先程ミス・シラヌイを送り届けた......いえ、送り届け損ねた時に運転してくださったご老人、エステンバーク氏は長い付き合いなので安心できます。
しかし......
「も、もう少しゆっくりとは走れないんですか?」
「何言ってんの、このスピードでもギリギリ爆風範囲から出るか出ないかなんだぜ?それにあの化け物、ただ歩いてるだけじゃないみたいだしな」
「それはどういう...」
ヤヲヨロヅをちらりと見たレトレスがトーンを低くして言う。
「見えただけだから分かんねぇけど、なんかここら辺にでかい穴が開いてた......境界を破ったっつーあいつの力はもっと凄ぇ筈だ。多分、人間じゃ止めることすらできねぇ」
「なるほど、貴方の予測する未来ではヤヲヨロヅによって境界の外に被害が出ていたんですね?」
「外っつうか辺り一帯?兎に角逃げねぇと...俺らに防ぐ手段はないからな。それと、もうそろそろ3分だぜ」
「範囲は」
「バッチリ脱出済み。そんなことよりねーちゃんのアレをこんな角度で見るのは初めてだ!何かワクワクしてきた!」
「レトレス、今はそんな事を言っている場合では────」
ゴッ─────!
まばゆい光が視界を埋め尽くした瞬間、衝撃波がバイクを横から殴り付けた。
吹き飛んだバイクと私達は宙に投げ出されましたが、咄嗟に受け身を取ることで二人ともかすり傷で済みました。かなり危なかったですがレトレスの予知が外れるとは意外ですね。
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