2杯目 / 小さな神々

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「つか、化け物は?」 そうです、対消滅の爆風が襲ってこないんです。ヤヲヨロヅの消滅と同時に発生する筈なのですが...? 「僕があいつの足元に大穴開けて境界の中まで移しました。レトレス君もオイドさんも、張り切るのは構いませんが適材適所を考えてくださいよ。ま、オイドさんのお陰で被害が最小限で済みましたんでこれ以上は責めませんけど」 「なっ、俺は!?俺も役に立ったぞ!」 「君は問題外」 「~ッ!なんだよそれ!」 ぷい、とそっぽを向いてしまいます。ミスター・ドルネダはふふっと笑って不貞腐れているレトレスの頭をくしゃっと撫でました。 「うわ、な、なにすんだっ!」 「冗談を真に受けないで。ドルネダさんがお嬢の爆撃から逃れられたのはレトレス君の『ラプラス』とバイクがあったからなんだから。充分役に立ってるよ」 「はぇ?あ、そっ.......と、当然だ!俺はなんたって凄いんだからな!もっと褒めていいんだぜ!」 「はいはいイイコイイコ」 「うぁぁ!やめろっ髪型が崩れるっ!もう撫でるな!」 「いやぁレトレス君はいつも可愛いなぁ、飼っていいかな?」 「ダメです。彼はうちの料理人ですから」 レトレスはミスター・ドルネダが弱点なんですよね。仲が良いと言えばそうなのでしょうけどどうも一方的に愛情が注がれているようです。 兄弟にも見えなくはありません。 「ふう、レトレス君を愛でるのはこれくらいでいいか」 「愛でるってなんだよ!?」 「さあ帰ろう、お嬢がまた暴れださないうちに」 ミスター・ドルネダが腕を振るうと空間が割けて漆黒の穴ができます。これが彼の能力で、1つの入り口に複数の出口を作り出し、その全てについて1/2の確率で入り口に入った物が出てくるというもの。人間でもなんでも複製が可能である代わりに、最悪消滅してしまう事もある危険な能力です。 ただ、神々などこの宇宙に理論上存在しないものに関しては、ただのワームホールという扱いになるらしいですね。 「こ、これを通るのか...?」 「心配しなくても境界を作っている間は増えたり消えたりしないから。多分」
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