3杯目 / 饗宴は仲間と共に

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私が運転手のおじいさんに連れてこられて、何だかよくわからないまま菓子折を買わされて再び境界に戻ってきた頃にはあの不気味で巨大な化け物は居なくなっていました。 境界が弱い今なら大きな車でも中に入れるみたいなので乗車したまま中に入ります。一定の区域だけが危ないらしく、壁の護衛にあたっている警備の人に許可証を見せる辺りでは軍事車輌も多く走ってる。なんだか圧巻です。 で、到着したのは1件の小洒落たバーの前。 女の子にひったくるように菓子折を奪われたかと思うと、オイドさんやその他の知らない人達まで私に気持ち悪いくらいの笑顔を向けてきます。1人はお面を被っていて表情は分かりませんでしたけど。 そんなこんなで雰囲気の良いバーに入店したわけですが、オイドさん説明プリーズ! 「さて、まずこうして全員が無事揃ったことを喜びましょう。お嬢とミスター・ドルネダの迅速な対応に感謝します」 「はむっ!もふもひもふ」 「僕はお嬢の後始末をしただけさ。感謝ならこの娘にね」 女の子は食べながら喋ってて何言ってるか分かんないんですけど、スルーでいいのかな......? 「では、こんな場所に連れてこられて混乱しているであろうミス・シラヌイにまずは自己紹介と参りましょうか」 「オイドのおっちゃん、言い出しっぺの法則だぜ」 「はいはい、では私から」 そういうとオイドさんは胸の前に手を持ってきて、まるでドラマの執事みたいに深々とお辞儀をします。なんだか最初に会ったときの『仕事ですから』感はあまり感じないなぁ。 「改めましてごきげんよう、ミス・シラヌイ。私の名前はオイド・フォマ・サハトバ。このバーと連合との仲介役を担っております。どうぞよろしく」 「は、はぁ」 もはや誰?ってレベルでヒトが違いすぎる。さっきの怪物より怖いよ! 次に名乗ったのは金髪の青年。この子は逃げ際にバイクに乗っていた子かな? 「俺はレトレス!まぁ呼び方は何でもいいけどな、出来ればラプラスって呼んでくれ。そんでもって俺の能力は『世界の全てを予測する全知の眼(パンドラデモンサイト)』!未来を完璧に見通す神の眼さ!どうだ、恐れ入ったか!」 「君の中二病は悪化する一方だねレト坊」
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