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「でも機密って、こんな場所で話しちゃいけないんじゃ...」
「ああ、だから扉の外には厳重な警戒がおかれているぞ。それに盗聴の類いも完璧に調べ尽くして対応済みだ。そして君の承諾があれば完璧な護衛のもと異動先へ贈る準備も整っている」
「え.....」
それ、どうあがいても拒否できないじゃないですか!ほぼ強制じゃないですか!
「ち、ちなみに、その護衛やらにかかった費用というのは......」
「ざっと8000万アメリカドルだ」
「は、はっせんまん......!?」
目眩がした。私が一生かかっても手の届かないほど莫大なお金がこの数分に消費されたというのですか......!
「どうかね、引き受けてくれるか?」
「もう断れるわけ無いじゃないですか。喜んで引き受けさせていただきますっ」
「よし、では早速向かいなさい。時間は差し迫っているからね」
ガチャ
奥の扉から眼鏡をかけたインテリなお兄さんが現れて私に手を差し伸べる。
「ミス・シラヌイ。これから貴女を目的地まで安全にお運びする命を授かっております、オイド・フォマ・サハトバと申します。我々にお任せいただければ何の心配もありません、さぁ、こちらへ」
「は、はい」
オイドという男性の後ろには防弾チョッキに身を包んだ重装備の護衛らしき人が4人。二人が前方、二人が後方で銃を構えて警戒に当たりつつ私達は何事もなくオフィスを出た。正面ロビーではなく裏口から。
「これに乗ってください、ミス・シラヌイ」
「あれ、普通の乗用車...?」
一般に売られている小型の車がちょこんと置いてあった。もっとこう、鉄の装甲で覆われた車とかリムジンとかそういうのを想像していただけに少し拍子抜け。
「予想とは違いましたか?襲撃の目を欺くには防御より目眩ましの方が有効なんですよ」
「なるほど....って、声に出てましたか!?」
だとしたら失礼なことを...!
「いえ、そんなような表情をしておられましたので」
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