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はぅぅ。
「顔に出ていましたか...!」
「気にすることではありませんよ。相手を騙す仕事ならば致命的ですが貴女の場合は相手の信用を得るのが仕事ですから。表裏が無い方が都合が良いでしょう」
「ありがとうございます......?」
褒められてるのかな?
「さて、立ち話もこれくらいに致しましょう。いつどこから銃弾が飛んでくるやもしれませんからね」
「ひぃっ!?の、乗ります乗ります!」
イタズラっぽく笑うオイドさんは乗用車のドアを開けてくれて、滑り込むように乗車。助手席と後ろの2席、それと私の右隣に護衛さんが陣取り左はオイドさん。男性二人に挟まれる形になってしまったけど汗くさくはない。意外。
運転手は初老のおじいさんで頼りなさげだったけどオイドさんによると"その道"では超有名な運び屋だったようで、既に本職は引退して隠居生活でも若い頃は危ない橋を何度も渡ってきたそう。猛者である。
「では、よろしいですかな?」
運転手のおじいさんが問いかける。オイドさんの目配せで「はい」と答えると老人らしい優しい笑みを浮かべ、ギアレバーに手を乗せた。
ガガゴッ!
ブォゥン!
ニュートラルからローにいれたと思いきや唐突なオーバートップ!急発進した乗用車のエンジンは止まるどころかぐんぐん回転数をあげていき、あっという間に時速80kmを越えてしまった。
街中の細かいカーブも華麗なハンドル捌きでくぐり抜け、郊外に出てからは120kmで一本道をすっ飛ばしていく。
「こっ....この車だいじょうぶなんですか...?」
「もちろん見た目はただの乗用車ですが、色々法的に許される範囲のちょっと外くらいには改造が施されているので壊れる心配はありません」
綺麗な笑顔のオイドさんはとんでもないことを言いやがりました。正直あまりのGに気絶するかと思いましたけどね!
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