1杯目 / 境界と終末世界

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街を抜けたとたんに眼前に広がる廃墟、廃墟、廃墟......放置された瓦礫が至るところに残っていて、今爆走している一本道がかなりハッキリ目立っている。嘗てはここも沢山の人がいて賑わっていたんだろうなって思うと何だか淋しい。 「ハルデオン州......ここには私の実家もありました」 オイドさんが口を開く。 「まあ、避難命令のお陰で祖父母は無事でしたが」 「それは......残念です」 「でも、このような惨状を作らないようにするのがIBMの仕事なのです」 「...ですね」 廃墟群を抜けると広野へと出る。 「『白い匣』はもう間もなくです」 「やっぱりそこなんですね......」 「そう、一つ言い忘れていましたが」 オイドさんは懐から1枚の紙を取り出して私に手渡した。そこには『境界侵入許可証』の文字が。 「ミス・シラヌイ。貴女の異動先はIBMの境界維持ラインではなく、"その中"です」 「.............は?」 「要するに壁の内側です」 「い、いやいやいやいやいやいや!?私、一般人ですよ!?あんなところに行ったら死んでしまいます!」 てっきり境界維持に関しての仕事になると思ってたのに! 「問題ありません。白い匣に対する観測データから推測して、あと数週間は"神々"が現れることはないでしょう」 「それ、確かなんですか」 「だいたい60%といったところです」 「半分近く外れるじゃないですか!」 もし、境界の中で神々が出現したりなんかしたら........考えるだけでも恐ろしい!っていうか壁を越えることを前提にしちゃダメでしょう!何のための境界なんですかね全く! 「怒ってます?」 「怒ってます!」 「ははは、そうでしょうね。でも安心してください、貴女が死ぬことはまず無いと言っておきましょう。これは93%です」 7%死ぬじゃないですかっ!
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