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「あれ、ここで止まるんですか?もっと近付いた方が.....それにあの警備の方もこっちに来ませんね?」
「ああ、それはいくつか理由があるんですが...1つは境界の発している力場のでいですね」
「力場?」
「境界そのものが半分以上オーパーツでできているのもあるのでしょうが、境界付近で局所的に超強力な磁場のようなものが生まれているらしく......車のような大きな金属塊が突っ込むと電流が流れて加熱してしまうんです」
「?」
「おや、難しい話でしたか」
すみません学がないもので...。
「簡単に言うと、境界に車で近付くと融けます」
「融...ッ!?」
「すこし言いすぎました。エンジンがオーバーヒートしてしまう程度です」
オイドさんの少しって4桁くらいの差なんですね。その感覚には追い付けそうにないです。
と、いつまでもここで留まっているわけにはいかない。慎重にドアを開けたオイドさんが周囲を見渡してOkのサインを後ろ手に送ってきた。警備の4人が先に外に出てオイドさんと車を守るように立ち、最後に私が出る。
「さぁここからは徒歩です。どこから狙われているかもわかりません。細心の注意を払っておいてください」
「は、はいっ!」
とは言ったもののビクビクと引け腰に歩いているのは私だけで、警備の人は銃を構えつつ周囲をくまなく見回し、オイドさんは平然と歩みを進めている。
「......皆さん、止まってください」
「え?でも境界まであと少しですよ」
「大変マズい状況になってしまいました。ミス・シラヌイには謝らなければいけません」
「な、何なんですか.....?」
その時、境界の方が微かにざわめいているような気がしてそっちに顔を向けた──
───瞬間。
ガシャァァァァァン!
壁が音をたてて砕け散り、向こう側から巨大なナニカが姿を現した。
「なに......あれ......」
「壁が破られましたか...まったく、こんなヘマはいつ振りでしょうね」
「そっそんな事言っている場合じゃ...!逃げましょうよ!」
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