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「いえ、ここで逃げると状況はさらに悪化してしまいますので...ミス・シラヌイは車へ全力で走って逃げてください。私はこいつの対処をします」
「そんな...」
「心配要りません。さ、早くしないと死にますよ。護衛の皆さんはミス・シラヌイに付いてください、私は一人で十分です」
「「「「了解しました」」」」
護衛の方々が私を車の方へ行くよう誘導する。
オイドさんが気がかりだけど車に向かって走っていきます。死にたくないです。
「あ、あの!」
走りながら隣を並走する護衛の男性に話しかけた。ところでこんな重装備でよく走れるものです。感心。
「ほっ、ほんとにオイドさんは大丈夫なんですか!」
「ええ、あの方はお強いですからなにも心配は要りません。兎に角彼の指示に従うのです。車までもう少しですよ」
「は、はい...!」
声色は本当に信頼しきっているようだった。そこまで言われてしまっては反論する気力も無い。元々反論する気は無かったけど。
車へ着くとおじいさんは運転席に座ってエンジンを吹かしていた。私達5人が乗り込みバックで方向転換、境界から遠ざかっていく。
「オイドさんがおられれば心配要らないでしょうが...彼も合流するらしいですな」
おじいさんが言った途端、車の脇を猛スピードですれ違ったバイクが1台。金髪がちらりと見えたが速すぎて顔までは分からなかった。
「い、今のは?」
「彼もまた、境界の関係者です。あの化け物に向かっていきましたな」
「止めなくて良いんですか!?」
ふむ、とおじいさんは一息吐いて。
「......あぁ、あの事は機密でしたかな。それなら貴女が知らないのも無理はないでしょう。IBM特殊班の方、開示の許可は出ているので?」
「ええ、構いません」
「?」
頭の上にハテナを浮かべる私に、おじいさんは語った。
オイドさんやあのバイクの人が境界で何をしているのか。あの化け物にどう対抗しているのか。
そして、境界の中がどうなっているのか...。
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