3人が本棚に入れています
本棚に追加
まあ何はともあれ、僕は無事に5分以内に嶋井川家に到着した。
インターホンを鳴らすと家から奈子のお母さんが現れた。
「まあ、やっぱりきーちゃんだったわ。
毎日来てくれてありがとね」
奈子母は優しい笑顔でそう言って、僕を家の中へ親切に招き入れた。
その後部屋の奥へと奈子母は消え去り、玄関から靴を脱いだ僕は一人ぼっちになった。
さて……奈子は二階の自分の部屋にいるんだよな。
僕は二階へと繋がる階段に足を進ませる――その前に、だ。
まずは一階の、畳のある敷居へと足を踏み込んだ。
その部屋の奥の中央には仏壇があり、僕はその目の前にある座布団に座り、花束を置く。
その花束は最初から仏壇に供えるためのものだった。
「また来たよ」
僕は写真立てに向けて、そう微笑んだ。
因みに。
その写真立てに写っていた人物は――
嶋井川奈子。
僕の幼馴染みだ。
最初のコメントを投稿しよう!