第1章

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  いつもの学校帰りのことだ。 僕、中森希一郎は、花屋から沢山の花束を買って寄り道をしていた。 『ピロリロリーン♪』 その途中、ある人からメールが届いた。 差出人は、嶋井川奈子。 僕の幼馴染みだ。 『よっす~きーちゃん♪ もう高校から帰り中?』 彼女から送られてきたメールにはそう書かれていた。 僕は『そうだよ』と、打って返信した。 その後すぐに、メールの着信音が鳴った。 奈子かな……送信してからまだ十秒も経ってないのに……。 『今日もきーちゃん、私の家に来てくれるんだよね? 自分の部屋で待ってるから♪』 今日も。 そう――僕はいつものように。 花束を買ってはいつも奈子の家にお邪魔している。 奈子は僕が通う高校の入学早々に、運悪く交通事故に遭い、今現在では自分の家で、ずっと引きこもっているような感じでいる。 とりあえず僕は『行くよ。あと10分は掛かるから待ってね』とメールを打った。 するとすぐにまた奈子からの返信がきた。 ――最近のJKはメール打つのこんなにも早いのか……高校に行ったことない彼女はどうだか分かんないけど。 『うっそつけ~(笑) 今きーちゃん私の家の近くにある横断歩道のとこっしょ? 5分もかからないでしょうに』 これには驚いた……まあいつものことなんだけど。 彼女はまるで監視しているようにいつも僕の居場所を言い当ててくることがある。 自分の部屋からここを覗いてきてるのだろうか……。 さすがにこういうメールには怖さを感じたりする。
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