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「満開に咲いた花より、
咲く前のはちきれそうな蕾が私は好きなの。」
祖母は少し奇天烈な人だった・・・
祖父の家は山奥の小さな集落で、
いくつかの小作人を使う、一応、地主と呼ばれる家の1つだった。
だが、曽祖父を戦争で亡くしたことで
世間知らずだった曾祖母が騙され、多くを失った。
残ったのは、家の周りの田畑と裏手にある雑木林、
そして、小作人とその家族たち・・・
祖父は家族たちを守るため、必死に働いた。
役に立たないと皆に言われた雑木林まで耕し、なんとか食いつないだ。
・・・少ない糧を、皆に分け与えるような人だった。
そんな祖父が、自分の幸せのために
我が儘を貫いたのが、結婚、だった。
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