第一章・ーみられてー

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 ある日、仕事帰りの夕方にどうしても気になって、少しばかり自宅から離れた場所にあるごみ捨て場に赴いてみた。  いつ見てもどこの場所から出されるためのごみ捨て場か分からずに、ふと視線を遣るといつもは何もないところに存在を主張するかのようにラジカセが置かれていた。  ……今時ラジカセって、今の若い子には通じるのか……? 下手をすれば、CD、MDすら分からない子だっているこのご時世だ。  だから私は、何となくそれが気になって気になって仕方なくなって、手に取り家まで持って帰る事にしたのだ。  家に入り机の上に置いてから、改めて観察してみる。  黒く染められたそれはどうやらコードではなく電池式のようで、この分ならば電池さえ入れ換えれば動くかな、とか軽く考えてみる。  ……あれ? これ……、もしかして……。  更によく観察してみると、テープレコーダーにはカセットテープが既に一つ入っていたのだ。
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