都市伝説

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 さすがにいなくなったことに、気づいているはずだ。  気づいていなかったら、あいつは一人で話す痛い子になる。だが、返事をしない僕は元々いないに等しい存在だ。  追いつくと、またも平然と後ろを歩く。まさか本気で気づいていなかったのだろうか。そうすると、こいつはかなり鈍感と言うことになるが。  足音が二つになったことに気付いたのだろうか、斎野が振り返った。  ふわっとチェックのスカートと腰まである長い黒髪が揺れる。香水かシャンプーか、甘ったるい匂いがふわりと漂う。 「あっ、いた! どこ行ってたの?」  首筋を掻きながら、人差し指で上を指さす。適当にトイレにでも行ったことにしよう。  ジェスチャーに目を瞬かせると、斎野は回答した。 「あ、もしかして、トイレ?」  よく分かったな。 「まあ、K君のことだしねぇ」  心が読めるのだろうか。 「そうだ。K君は『メリーさんの電話』って知ってるよね」  唐突な話の切り替えに、頷いてみせた。『メリーさんの電話』というと、誰もが知っているような有名な都市伝説だ。
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