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最後に少女がどうなったかが分からない。
そんな結末のストーリーだからか、この話には色々と尾ひれがついている。振り向くと後ろが壁でメリーさんが埋まるとか、途中で迷子になるとか、はっきりと殺されてしまうとか。
思いつく限りの『尾ひれ』は、今回の話とは関係が無いと信じたい。
今日、久々に部活に出ようと思ったのはこのことがきっかけだ。
ゼロこと麗衣が、ネットから『メリーさんの電話』をアレンジした怖い話を引っ張って来たらしい。それで、それを斎野に「実行しよう!」と誘われたのだ。
それを快諾(かいだく)して屋上に向かった後に、部室である空き教室に行こうと思っていのだったが。
思わぬ妨害により大幅に後れを取ったが、とりあえず予定通りにみんなで実行することはできそうだ。
ややあって一階に辿り着き、廊下を渡る。
この学校は一年ほど前に改装したらしく、色々と設備や塗装が新しい。だから受験の倍率が跳ね上がったのは、記憶に新しいことだ。大して勉強もしていないのに受かったのは、奇跡と言える。同時に申し訳ない思いもあるのだが。
教室がいくつも続く廊下をまっすぐに進み、行き止まりに着く。右手に部室である空き教室があり、そこに斎野が吸い込まれていくように入った。それに続く。
使い古された椅子と机が並ぶ空き教室の中心に、よく目立つ白髪の少年が座っていた。どうやら斎野が僕を探しにいく間、勉強をしていたらしい。教科書と参考書が置かれていた。
さすが優等生。内心で彼の姿を、昔の自分と重ね合わせた。
僕らが入ってきたことに気付いたのか、ヘッドフォンを外した麗衣はこちらを向いた。
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