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「お昼ご飯、あそこで食べよう!」
勝手にしろ。
あのいつ雨が降るか分からない空間で、昼ご飯を食べる気にはなれない。それに、移動が面倒くさい。
それにしても、斎野は完全に一人で喋っていることに気付いていないのだろうか。僕はともかく、麗衣もさっきの話を頑張って理解しようとしているから、ペンが動いていない。彼の生真面目さが、今回は悪いほうに傾いているようだ。
「それにしてもさぁ」
人差し指が、僕に向けられる。
「K君が珍しく部活に来るって思ったら、来ないしさぁ。一時間くらい遅れたし」
それについては謝罪する。もちろん、僕の中で。
「というわけで、ゼロ君。どんな話?」
斎野の一声で、本来の話題に戻った。つまり『メリーさんの電話』をモチーフにした、都市伝説のことだ。
実行、ということはこっくりさんとかひとりかくれんぼとか、そういう交霊術のようなものなのだろうか。
何かを書き込んだ麗衣がメモを見せてきた。
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