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『お願いが叶う、って話』
__願いが叶う?
半信半疑__いや、正直なところ麗衣の持ってきた話は嘘だと思った。こういう目に見えて変化が起こる話ほど、嘘くさいものはない。
だが、もし仮に願いが叶ったとすると面白いものがある。実行してみる価値はあるのではないか。
嘘だと思いつつ、そこら辺の椅子に腰かけ、足を組む。
単純馬鹿の斎野はこの話を信じているらしく、目を輝かせていた。
こいつは将来、詐欺にあう確率がこの中で最も高いだろう。認めたくないが、次は僕だ。
嘘だと思いつつ、こうやって実行してしまう。しかしながら、単細胞よりも冷静に物事を見極められる自信はあるが。
麗衣が必死になって何か書き込んでいるのを横目に、少し欠伸をした。
外は時間が止まっている。風も吹かず、雨が降りそうで降らぬ天気で誰も通らぬとなると、誰もがそう錯覚するのではないだろうか。だが、時間が確実に過ぎて行っているのを、時計の針の音で確認できる。
普段ならつまらない退屈な時間だと思っているが、今日は心のどこかでこの時間を楽しんでいる。
ふと、麗衣が顔を上げた。
『でもって、手順なんだけど』
どうやら、長い文章を書いていたらしく手間取ったようだ。
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