都市伝説

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 だが、完全犯罪だからこそ、どうしてここにいることが分かったんだろうか。理由が分からずに首をかしげていると、さらに声が屋上に響く。 「どこー!?」  それにしても、どうして探しているんだろう。根本的な部分を考えると、その答えはすぐに出た。  死にたい気持ちですっかり吹き飛んでいたのだが、今日は部活だった。  この高校には『必ず部活に参加しなくてはいけない』という意味不明な校則がある。何にしようかと考えていたところを、文芸部に誘われた。誘われたというよりかは、初めから僕が入部するのが決定していた気がする。  文芸部と言うと物書きが集合したイメージがあったが、我が高校の文芸部はそんな勝手な解釈とは違った。  ただ他愛ないことを喋って帰るだけ、という時間を無駄にする僕にぴったりの部活であった。  幽霊部員だというのを条件に入部することになったが、なかなか居心地がいい。居心地の悪い変な部活に入るよりかは幾分、救われた気がする。
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