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俯いたまま返事をする悠二。着替えてから食卓に着き「いただきます」と言ってご飯を食べ始めた。
「…………」
「…………」
あの修学旅行以来、悠二の口数は極端に減ってしまった。家にいる時すらこちらが質問すること以外はほとんど喋らない。
「悠二…本当に何もないの?何かあったならあたし聞くよ?」
「……何もないって。AMも潰れたみたいだし平和で何よりじゃんか」
「そうだけど…やっぱりあの日以来、変だよ悠二」
「本当に何でもないよ。ごちそうさま」
文乃の質問から逃げるように食べ終えて自分の食器を片していく。そして全てが終わったら部屋に篭ってしまう。
この調子がずっと続いているため文乃は心配で仕方なかったのだ。そんな中だった…アレがこの街に来たのは…
ーー
「ほな今日は校外学習やー、言うても河川敷辺りで夕菜ちゃんの特訓メインやけどな」
「先生…悠二はどうするんですか?」
「僕が探しておくわー、それと仕事があるから少し遅れて行くと思うけどしっかりなー」
こうして授業の一環で前に悠二が暗殺されかけたあの河川敷に行くことになった。悠二と先生がいない中、目的地まで歩いていく。
もうかなり寒くなっているため防寒をしても飛んでいくのは堪えるのだ。だから敢えて歩いていた。
「とっても寒いですね。先輩方まで付き合わせてしまってすみません」
「夕菜にとっていいコンディションだから大丈夫だっけ!!」
「きっと強くなっておいて損はないですからね」
「……飛んで……行けないのは…残念だけどね」
「いいこと思いついた!俺が暖炉的なものになればいいんじゃね!?」
「他の物に燃え移るからやめなさい、バカ東寺」
1人足りないこの状況でも落ち込んでいる場合ではない。また何か強敵が現れる前に力をつけておかなければいけないのだ。
そんなこんなで河川敷に着き夕菜メインの特訓が始まった。
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