はじまり…

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ほんの出来心だった。 軽い気持ちでクリックしたのに、まさかこんなことになるなんて…。 事の始まりは、公園で聞いた小学生の会話だった。 その日は営業の外回りの仕事で、土曜日だというのにすごく忙しかった。 そのため、お昼をゆっくり食べる時間がなかった俺は、コンビニで買ったおにぎりをベンチに座って食べていた。 そんなとき、俺のすぐ近くのブランコに小学生の男の子3人が乗って遊び出した。 小学生は良いよなぁ…と思いつつ、自然にその子達の方へと視線がいく。 「なぁ、異世界メールって知ってる?」 一人の男の子がふいに言った。 「なにソレ?新しいゲーム?」 他の二人が食い付く。思わず俺もその会話に耳を傾けた。 「異世界メールってのがあって、スマホとかに【異世界に行きませんか?】ってメールが来るんだってさ。けど、そのメールをクリックすると、異世界に行って帰ってこれないんだって。」 「なんだそれ!?ウソくせー!!」 「それが、マジなんだって!俺の兄ちゃんの友達、そのメールが来たあと行方不明だって言ってた!」 「マジで!?こえー!!」 「でさ、この話を聞いたやつのところに異世界メールが来るんだってさ!」 ニヤニヤ笑いながら男の子は言った。 一瞬無言になる他の男の子達だったが、 「俺ら、携帯持ってねーし!!」 と答え、「一瞬びびったー!!」と言って笑い出した。 つられて俺も笑いそうになったが、ふと気になり携帯を取り出す。 携帯には12:50の文字。 やっば!!! 俺は慌てておにぎり口に詰め込むと、お茶で流し込み立ち上がる。 急がないと次の営業先に間に合わない!! 「兄ちゃんが言ってたけど、もしメールをクリックしたとしても、助かる方法がちゃんとあるらしい!それは…」 まだ異世界メールとやらの話をしていたが、俺はとにかく次の営業先に行かなければと、駆け出したのだった。
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