7人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
目の前には、見慣れた自分の部屋があったはずなのに、それは見事に消え去っていた。
かわりに目の前に寂れた駅のホームが現れたのだった。
薄くモヤがかかっていて、人の気配が全くない。
無人駅なのだろうか?
とりあえずベンチに座り、スマホを確認する。
ある程度予想はしてたが、圏外だった。
これからどうしようか思っていたら、ゴォーーーっという音と共に電車がホームへと入ってきた。
電車はゆっくりととまり、ドアが開く。
中を伺うと他にも人が乗ってることに安堵した。
「お乗りになりますか?」
突然声をかけられビクッとする。
開いたドアの前に男の人が立っていた。
さっきまで誰もいなかったのに…。
格好からして、車掌だろうか。
「この電車は異世界行きになります。お乗りになりますか?」
車掌が聞いてきた。
異世界、という言葉にちょっとワクワクした俺は電車に乗り込もうとした。
が、チケットを持ってないことに気付きその足を止める。
そんな俺を見て、車掌は首を傾げる。
「あぁ、もしかして、チケットをお持ちではないのですか?」
「……はい…。」
「もしかして、メールが来ませんでした?」
「あ、それなら!」
「ならば、どうぞお乗りください。」
車掌の言葉に安堵した俺は電車に乗り込んだ。
まるで俺が乗り込むのを待ってたかのように、俺が乗り込んだ直後にドアがしまる。そして、特に車内放送もなく電車は走り出したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!