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「この電車は…“あの世”行きですよ……。以前は“あの世”行きと案内してたんですが、それだと誰も乗らないので“異世界”行きに変えたんですよ。」
車掌はそういって、楽しそうに笑い出した。
「そうしたら!あはははは!面白いほど電車に乗る人間が増えたんですよ!あはははは!!」
「あの世に連れていかれるなんて思いもしない!あの世に行くと知った時の顔といったら…!あはははは!!」
突然ぴたりと笑うのをやめ、再びニヤァと笑うと、俺の方へグニャリと顔を近付ける。
「あなたと同じ顔です。皆さん、恐怖に満ちた顔をするのです。そんな顔を見るのが、私は楽しくて仕方がないのですよ。」
そういうと、再び笑いだした。
その声はまるで地の底から響くような、思わず耳を塞ぎたくなるような声だった。
電車に乗ってる人達へ再び視線をうつすと、相変わらず全員ニヤニヤと血を滴らせながら笑っている。
あの人達は、この電車に乗ってしまった人達なのだろうか?
俺も…ああなるのか…?
ポタリポタリと頬を伝い何かが落ちていく。
涙かと思い拭ってみると、それは血だった。
俺の目から、血が滴り落ちていたのだった。
この時、俺は自分の軽はずみな行動と、あの少年たちの話を最後まで聞かなかったことを後悔したのだった。
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