One step this side

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俺は信濃鶴太18歳。 高校三年生になってから約3ヶ月。 まぁ、"期末テスト"ってやつが終わったばかりなんだ。 事件は先程の昼休みから。 『信濃鶴太ー信濃鶴太…生徒指導室へ来てください』 と、いう放送が入った。 『おい鶴!呼び出しだぞ!』 俺の友達[榊原津軽]が俺の机に身を乗り出して言った。 うるせぇなぁー…! こんなの慣れっこだっつうの…。 「また髪染めたのか?」 「だーかーらー!これは地毛!お前は何回言っても忘れるな」 そうだ。 俺は生まれつき色素が薄いんだ。 理由は多分…じいちゃんがロシア人だからだと思う。 「もー!そんなにキレるなよ」 「別にキレてねぇし…」 俺はこの色の薄い髪の毛とライトブラウンの瞳が大嫌いだ。 もちろん物心ついた時から。 もっと…日本人らしい綺麗な黒髪や漆黒の澄んだ瞳が欲しかった。 じいちゃんのことは大好きだけれど、とにかくこれはコンプレックスだ。 「何ですか?先生」 俺はしぶしぶ生徒指導室のドアをあけた。 やはりだ。 学年主任の田中先生が仁王立ちで待っていた。 「おい…お前はいつになったら反省するんだ?」 田中先生が取り出した白い紙は、俺の期末テストの現代文答案だった。 「[21点]これは…追試だな」 「えぇ!?」
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