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走りながらなのでじっくりと読むことは出来ないが、次に目に入ったのは不自然な平仮名と片仮名。
普通なら漢字に変換出来るはずの文字が変換されていなかった。
昨日は恐怖を煽るための演出だろう、と気にしてなかったが、そこであることに気がついた。
「あ?」
それに気がついた繁は走るのを止めて、ゆっくりと止まった。
「漢字に直してないのは行の最初だけ・・・? いや、よく見れば宛名の“名”や他人の“他”も漢字だし」
気のせいか?
そう思うが、繁は別の法則性に気がつく。
「一文字の漢字で読み仮名が二文字以上ある漢字だけが、漢字に直されてない・・・?」
人、呪い、二人、追伸。
「でも、だからって何だっていうんだよ・・・!」
その法則性に気がついた繁だが、意味が分からずに悪態をついた。
「行の最初が読みも書きも一文字になったからって何が───」
そこまで言った繁は、突然喋るのを止めた。
「わざわざ一文字に直した意味・・・? 最初の一文字だけ・・・」
そして、ある方法にたどり着く。
「・・・縦読み?」
一昔前までは、よくミステリーなどの暗号に使われた方法。
今ではあまり見なくなったその手法に乗っ取り、繁は読んだ。
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