41人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、繁はその思考を頭から追い出す。
きっとタイミングが良かっただけだ。
そう思い、速まった鼓動を落ち着かせる。
少し頭が冷えてきたので、繁はもう一度届いたメールをよく見てみた。
サイトなどに繋がるリンクが無いところを見ると、チェーンメール系統のイタズラメールなのかもしれない。
少なくとも、どこかのサイトが勧誘目的で送り付けてきたモノではないらしい。
後、おかしな点と言えば漢字変換されていなかったりするところだろうか。
所々、平仮名や片仮名で表記されている。
それに、よく読むと文法も少しおかしい。
だが、これらは怖さを演出させる為だろうと繁は勝手に納得した。
内容としては、宛名に復讐したい相手のアドレスを打ち込み、件名に復讐メールと打つ。
すると、送りつけられた相手はそのメールの本文通りに行動するようになる呪いがかかる、といったものだった。
ふたり以上同時に復讐出来ない、というのは一斉送信では呪いがかからない、ということだろう。
それに他人にも呪いをかけることが出来ないらしい。
ということは、お互いがお互いを知っていなければならないのだろう。
と。
そこまで考えてから、何を真面目に考えているのだろうか、と繁は頭を振り思考を切り替える。
バカバカしい。たかがイタズラメールだ。
繁はそう心の中で悪態をついた。
完全に冷静さを取り戻した繁が、再びメールを見ていると、ある一文に目が止まった。
「復讐.....」
それは“復讐”という文字。
普段は虐げられることしか出来ないが、このメールを見てあることを思い付いた。
それは小さな意趣返しをしよう、というもの。
最初のコメントを投稿しよう!