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学校から無我夢中で走り続け、気がつけば繁は自分の家の前まで来ていた。
どこをどう走ってきたのかもわからない。
だが、無意識に通学路を通ってきたのだろう。
そう結論づけ、繁は足早に自室へと向かった。
自室に入った繁は急いで鍵を閉め、そしてそのまま扉に寄りかかり座り込んだ。
「はぁ、はぁ」
普段はあまり運動をする方ではない繁は座り込んだ途端、肺が圧迫されるような感覚に陥った。
息切れを起こしており、汗も滝のように流れてくる。
このまま、この苦しさが続けば余計なことを考えずに済む。
そう思う繁だが、人間の体はそう都合よく作られておらず、徐々に息が整い始める。
呼吸が落ち着くと共に、思考が鮮明になってきて、考えまいとしていたことで埋め尽くされる。
先程まで止まっていた体の震えが再び始まった。
「お、俺が.....俺が.....!!」
この一連の出来事を偶然で片付けることは出来なかった。
どうやってかはわからないが、自分のせいで人が死んだ。
その事実が繁に重く突き刺さる。
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