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「い、いや待てよ.....」
だが、人間とは不思議なもので。
「・・・そ、そもそも、お、俺はメールを送っただけで何もしていないし」
心的に多大な負荷がかかると、何かと理由をつけてその負荷を減らそうとする。
「そ、それ以前に! やつはそれ相応のことをやってきたじゃないか!!」
そう思うと、自然と体の震えも止まった。
ここで無意識に繁が取った行動は、現実逃避による責任転嫁。
つまりは、自分の責任ではないと思い込み、自分の意見を正当化しようとするものだ。
「当然だったんだ・・・。もし俺が送ったメールが原因で死んだとしても、死んで当然だったんだ!」
今の繁の精神状態は普通ではなかった。
自分のせいで人が死んでしまったかもしれないという事実から目を背け、自分の都合のいいように解釈していた。
しかし、現実逃避していた繁は無理矢理現実に引き戻される。
一つの音によって。
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