第1章:噂のメール

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――うわさ。そう、噂だ。  実話なのかフィクションなのか曖昧な現象であるが、結局の所は噂を聴いた本人の主観でそのどちらかに決まる。あるいは、更なる噂を作りそれを広めてしまう事もあるのだろう…。  そこで厄介なのが、完全な作り話をさも実話であるかの様に噂として、広まってしまう事だ。  それが起こると、もう真実で実話の事であっても大多数の否定意見で簡単に作り話にも想像のフィクションにもなり得てしまうし、勿論その逆の作り話や想像も大多数の否定意見で実話や真実味が出てしまう…つまり、噂を真実か嘘かを見極めるには、自分で判断して決め付けてしまうか実際に実行して見るしかない。  ここで問題になるのが、噂の内容だ。  危険の無い噂なら真実を知るだけで終わるが、危険を孕んでいる噂は真実を知るだけでは終わらない…こういった類の危険な噂は、真実で実話だと決まりきっていれば誰も実行しようとは思わない筈だが、危険な噂を想像で作り話だったと広まってしまえば、その他の噂も作り話の想像かもしれないという疑念が生まれる。  そうなると、やはり自分で決め付けてしまうか実行して確かめるしかない。 ……あの時もそうだった。俺が同じ学年の女子にメールで告白した事が何故か噂になっていて…いや、俺のことは今は置いとくとしよう…それに、告白メールはクラスの大半に興味本意で問い詰められたが「と、友達が勝手に…」初めての架空請求の時みたいな発言を言うことで、完璧に有耶無耶に出来たから問題はない。問題なんてなかったんや! ……話が逸れたが、要するに何が言いたいのかというと危険な噂が作り話の嘘だと証明されてしまった以上、それを確かめようと実行してしまうバカ野郎が少からず出てきてしまうって事だ。  そして、そのバカ野郎の中に俺、笹村 修一(ささむら しゅういち)も含まれている。 「……なんてこった、俺はこれからどうすればいいんだ…?」
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