第1章

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しかし実際はそんな簡単なものではない 見ず知らずの10万人の命をそんな簡単に奪えるほど俺は狂っちゃいないんだ 世界では1日に約15万人が死亡していると聞いた事がある、年間で…考えたくもない こんな時彼女ならなんと言うだろう、彼女なら迷わず青いロープを切れと俺に言うだろうな 優しい女性だ、まるで聖母マリアのような女性だ 聖母マリアには会ったことはないが彼女は見ず知らずの他人の為に迷わず自分を犠牲にする そういうところに俺は心底惚れているんだよ だからこそ俺が彼女を守ってやるんだ 一生守ってあげたいと思ったから結婚を申しこんだんだ 俺は赤いロープに手を伸ばした、ハサミがやけに重く感じる これを切れば全部終わる、ロープをハサミで切るだけだ簡単な事なのに……本当にこれでいいのか? 本当は俺は長々と赤いロープを切る言い訳を探していたんじゃないか? そしてあまつさえ彼女のせいにしようとしているのでは? "残り10分ですよー"
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