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―side A―
「ねぇ、凛子さん」
「ん?なあに?」
あれからおよそ半年。彼は仕事の合間を縫って、突然電話をしてきた。
「今日って仕事終わるの何時くらい?」
「そんなに立て込んでないから、定時くらいには終わると思うけど」
「じゃあ、迎えに行っていい?」
「どうしたの?今日は遅くなるって言ってなかった?」
「そうなんだけど、予定変更」
「あ、そう……わかった。また後で連絡するね」
彼は思い立ったように行動をする。予定なんてあるようでないものだ。それがA型の私からしてみれば面白い一面でもあり、場合によっては振り回されっぱなしの一因でもあるんだけど……。
「先輩、会議始まりますよ」
「愛名ちゃん、先に行ってて」
しっかり者の後輩は、私が彼と話していたと見抜いたようで、冷やかすような視線を向けていた。
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