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ちる)
気持ちに従い、いろんな人、特に高校生や中学生を中心に遊んでいたけれど、約束を果たせたことにならない。そもそも、どうして高校生や中学生を選んだのかもわからない。
「そもそも、ボクは何者なんだ? どうして、ここにいるんだ?」
公園、夕暮れ時の時間、誰かと待ち合わせしている。なのに、それが誰か思い出せない。その時だった。
カ─────────ンッ!! 勢いよく缶を蹴り上げて、女の子がニィと口元を歪めた。
「遊ぼうよ。影沼ちゃん」
影沼ちゃんと、彼女は呼ばれ、ハッとしねブランコから飛び降りて走り出していた。
「やっと来てくれたんだ。蛇目ちゃん」
「へへへ、いつもは誘いに来てくれるから、今日は私が迎えに来たよ。なにがしたい? 色鬼? 鬼ごっこ? 影踏み? 缶蹴りでもいいけど」
「全部!! 蛇目ちゃん。全部、遊びたい!!」
「欲張りだなぁ。影沼ちゃん!! じゃあ、さっそく始めようか」
「うん!!」
影沼帽子は、思いっきり遊んだ。残された時間を思いっきり使うように、長い間、かなえられなかった約束をかなえるために、腹の底から笑って蛇目と遊んだ。
「ごめん。影沼ちゃん」
「なんで、謝るのさ。蛇目ちゃん」
こんなに楽しいのにと思うのに、影沼の目から涙が溢れていた。忘れてたいた記憶が蘇っていく。
「約束、守れなかった。山都くんと遊びたくて、君との約束を無視した。嫌われるのが怖くてずっと忘れたふりをしてた」
「…………」
「君が事故死したことも知らなかった。知ろうと思えば、知ることもできたのにそれもしなかった」
だから、ごめんと蛇目は謝った。そっかと影沼は頷いて、黒色のニット帽を脱いだ。金髪があらわになる。
影沼帽子は、外国人の母親と日本人の父親のハーフだ。影沼は自分の髪が好きになれずいつも黒色のニット帽で隠していた。仲間外れにされるのが嫌で、少しはみんなと同じになりたくて、黒髪と同じ黒色のニット帽を被っていた。
「そっか。ボクは死んじゃったんだ。知らなかったな。そっか……」
ゴシゴシと目元をこすりながら、影沼は思う。たとえ死んでも言いたいことがあった。
「蛇目ちゃん。ボクね」
スーッと息を吸い込み、
「ずっと君のことが好きだったんだ」
と告白した。
「え?」
「ごめん。驚かせたよね。女の子なのに、蛇目ちゃんのことが好きだなんてね」
へへッと蛇目は視線を逸らした
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