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突然の告白に蛇目の頭の中は真っ白になった。好き? 誰を、誰が? 影沼帽子が蛇目日傘を好き?
「君にだけは嘘をつきたくなかったんだ。男の子っぽい格好をしていたのも、君に振り向いてほしかったから」
でも、それも無駄だった。彼女には山都大聖という大きな光があったから、遠くから山都大聖と蛇目日傘が二人でいるとき、自分には見せたことのない、笑顔を見せた。所詮、自分は影なんだ。大きな光の前では霞んでしまう。
「やっぱり諦めきれない。ボクと付き合ってください」
「……え、えっと」
もじもじと言いよどむ。蛇目を背後から見ていた二人はもどかしい気持ちになった。影沼帽子が女の子だということにも驚かせられたが、まさか、告白までとは、
(どう答えるでしょうか)
(知らないわよ)
(と、とにかく見守るしかないですね)
(そうね)
と真朱と鏡子が頷き合い。蛇目は沈黙の末、言った。
「ごめん。貴女の告白は受けられない。私は、山都大聖が好きなんだ」
「そっか。ボクは山都大聖に勝てないのか」
そっかと頷き、彼女は走り出していた。影沼帽子が、事故に会った日、彼女は、蛇目日傘に告白しようと思っていた。自分の恋心。焦る気持ちと、迷いが事故を起こした。青信号だった横断歩道を信号無視で突っ走る、車にひかれて、何年もさまよい続けてん、結局、振られた。
「クソッ、クソッ、クソッ!!」
最初から負けていた。女の子だから、金髪だから、ハーフだから、何もかも負けていた。
「ボクだって男の子に生まれたかった。男の子だったら蛇目ちゃんに好きになってもらえたのに!!」
目の前に横断歩道が迫り、金髪の少年とすれ違った。
「おい、そこの!! 危ないぞ!!」
「え?」
視界の片隅に青信号が、赤色に変わり、スピードを緩めることのない、車が迫って来ていた。記憶が蘇る、ああ、そう言えばあの日も、こんなんだった。
「…………ああ」
「チッ!!」
舌打ちが聞こえて、金髪の少年が横断歩道を走り、影沼を抱え上げて走り抜けた。クラクションを鳴らして車が走り去っていく。
「イテテテ、おい、大丈夫か?」
「え、あ、はい。大丈夫です」
トンッとおろされて、ポンポンと土ぼこりを払ってもらいちょっと恥ずかしくなった。
「た、助けてくれてありがとうございます」
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