第1章

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それに使った缶をそのまま放置して、近所から苦情が来たとか、いろいろ事情があると言われ、蛇目は苦笑いするしかなかった。蛇目が小学生くらいの頃は、缶蹴りなんて普通にやってた。 「うん。でも、やろうってことになったのはあっちの二人かなぁ。どうせ、鏡子ちゃんあたりが、缶蹴りは、貴女に負けないって言って、陰火ちゃんが言い返して、貴女達は巻き込まれちゃったってところかな」 どうかなと、二人に尋ねるとコクコクと頷いてちょっと視線をそらした。蛇目はふーんと頷き。 「で、缶蹴りで一番になったら、何か約束してるのかなぁ? 例えば山都くんと何々とか」 「「…………」」 顔をポッと赤く染める、彼女達に蛇目は可愛いなぁと思った。まぁ、とうの山都大聖は、とある仕事で出張中なんだけど。 「よし、わかった。じゃあ、こうしようか。缶蹴りで私に勝てたら、どんなことでもお願いを聞いてあげる」 と蛇目は言った。まずはルール、説明からねと蛇目は説明を始めた。 その頃、山都大聖は電車に乗っていた。連日連夜、仕事を続けていたせいか、さっきから欠伸が止まらない。 「寝不足かい? 山都」 隣に座る、青色の着物を着た少女が尋ねた。白髪を後ろで束ねて、帽子を被った少女こと、伊織がポンポンと自分の膝を叩いた。 「どうせ、客は私達だけなんだ。人目を気にする必要はないよ」 「いいよ。遠慮しておく」 欠伸をしながら、山都は答えた。 「けど、なんでお前がここにいるんだよ。伊織」 「いいや。一週間も女の子と会ってないだろうから、飢えているだろうと思ってね。他の女にちょっかい出す前に釘を刺しに来たんだ」 「俺をそこらの頭の軽いチャラ男と一緒にするな」 「ほほう? 仕事先の子供さんと鬼ごっこしてたのは、どこのどいつだい?」 「なんだ、そいつはけしからん奴だな。仕事とプライベートの区別もできないのか」 「君のことだよ。山都」 「仕方ないだろ。暇だって言うんだから遊び相手も仕事だったんだよ」 どんな仕事だと悪態をつく、伊織に俺だって知るかと答えた。 「で? 仕事ついでに、何か調べていたようだけど、わかったのかい? 高校生や中学生が小学生まで若返ってしまう事件」  「さぁな。新聞の記事じゃ、被害者は全員、黒色のニット帽を被ったガキと出会ってたって話だったが尻尾すら掴めなかった」 「向こうからもホイホイ、現れないというわけだね」
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