第1章

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「どこの誰か知らないが、ずいぶんと派手にやってるみたいだし、誘い出せると思ったがまったくダメだった」 「まぁ、君みたいな金髪野郎じゃダメだろうね」 クスリと伊織が笑う。 「ん? どういう意味だ?」 「さてね、まぁ、いいじゃないか。一週間も働いたんだ。こういうときくらいゆっくりしようじゃないか」 ヒョイッと山都の引っ張ると、伊織は膝に頭を置いた。 「お、おい。伊織」 「いいから。いいから」 ポンポンと頭を叩かれていた頃、公園に蛇目の高笑いが響いていた。 「どうした、どうした。チビッコ共、私から缶を蹴れないとは何事か!!」 缶を片足に置きながら、蛇目はあちこちに隠れて、こちらを狙う、陰火達を周囲を見渡す。缶蹴りなんて、小学生の頃、以来だったけれど、以外も身体は覚えていた。それから一時間ほどして、 「「「「ギブアップ」」」」 陰火、鏡子、真朱、揚羽の四人がクタクタになって座り込んでいた。 「情けないなぁ。みんな、この程度でバテるなんてねぇ」 ヤレヤレと肩をすくめつつ、蛇目から自販機から買ってきた、ミネラルウォーターを手渡した。 「蛇目さんのほうが、体力ありすぎだと思いますけど」 「アハハハハ。まぁ、あれだね。子供の頃から山都くんに引っ張り回されてたら嫌でも体力つくよ」 懐かしいなぁと蛇目は思い出す。あっちこっちに引っ張り回されては、いろんなことに首を突っ込んでいたからだ。 「山都お兄ちゃんの子供の頃ってどんな子だったの?」 「ん? そうだねぇ。今とあんまり変わらないかなぁ。いつでもどこでも走り回ってる感じかなぁ。止まったら死んじゃうというか、ブレーキの壊れた列車みたいだったよ」 ブレーキの壊れた列車という表現に、四人がうんうんと頷いた。 変わらない。いつまでも変わらない。彼は、出会った時からずっと突っ走っていて、でも、困った時には助けてくれる。 「あと、なぜかいつも女の子に好意を寄せられるんだよねぇ。不思議なことに」 「不思議じゃありません。山都様なら当然です」 と真朱がきっぱりと言い切った。その発言に揚羽もうんうんと頷いている。陰火と鏡子も否定する様子はなかった。 「そうだねぇ。変わらないんだよなぁ。彼は……」 懐かしみながら、今朝、見た夢を思い出した。黒色のニット帽を被った子供。 「ねぇ、お姉さん。ちょっといい?」 ザリッと公園に子供が入ってきた。 「どうしたの?」
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