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そんな時、飯岡家にロシアのニコラエフスク(ニコラエフスク・ナ・アムーレ)に移住しないかという話が来たのだ。大正4(1915)年の春である。話をもってきたのは、友蔵の知り合いで高木正雄という男だった。高木は長崎県で小商いをしていたが、不景気で店が倒産してしまった。そこで借金を踏み倒して、ニコラエフスクに逃げる算段だった。ニコラエフスクは日本では尼港(にこう)と呼ばれている。戦争で世情不安なおり、日本からの脱出が出来ると言う話が飯岡家にまいこんだのである。おはんが13歳の時だ。
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