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応えるように立てた膝から、スカートの裾がめくれて太腿が露わになった。
これはわざとだ。彼を誘っている。
素肌がうっすらと泡立ち、ぴくぴくと膝頭が蠢くその上を、嬲るように彼の手は弧を描いてなで回す。内腿へ、さらにその奥へと。
そう、これはおしおきじゃない。
今、ふたりがしたいこと。
あなたが欲しい。
私を欲しがって。
あなた、と声をひそめて、幸子は呼ぶ。
「したいんだもの」
「何を?」
「……意地悪ねっ」
上がった膝を割って覆い被さり、腰を引き寄せた彼は着衣の上からでもはっきりわかる昂ぶりを伝えてくる。
「ゆき……ひろ」
喘いで。鼻にかかった声で彼の名を呼ぶ。
お互いの口から含み笑いが漏れる。
脱がすのももどかしく、衣服の隙間からこぼれ落ちた乳房を両手で鷲づかみにし、谷間に顔を埋めた彼は強く吸った、赤い痕をわざと残す為に。
痛みすら快感に代わる瞬間。
今日も可愛がってもらえる。
たくさんかまってもらえる。
何事もそつなくこなす彼が、我を失い自分へむしゃぶりついてくる姿が愛おしい。
余裕をなくして力まかせに痣がつくくらい激しく抱き、彼女に耽溺していく姿を知っているのは私だけ。
幸宏に身を任せているのは最初の内だけ。彼を翻弄して屈服させ、果てさせる主導権を握っているのは私だ。
もっとねだって、欲しがって。でないとしてあげないから。
幸子はつま先を高く掲げて彼の胴を巻き込んだ。
離さないと言うように、太腿に力を入れて。
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