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きつく目をつむった拍子にはらはらと涙が幾つも零れ落ちる。
とても食べ続けられなくて、フォークをテーブルに置いた。
がた、と少し粗野に椅子を引く音がして足音が近づいてくる。
気付くと亨の声がすぐ傍で聞こえた。
「何、泣いてんだよ」
「とーる、ごめん」
椅子の背もたれが押し開かれて、座ったままテーブルの正面から少し斜め向きに動かされる。
目を開くと涙でぼやけた視界の中に、跪いて困惑した表情で私を見る亨の顔があった。
「なんで、謝んの」
亨の顔は笑ってなかった。
だけど、私の顔を撫でる手は優しかった。
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