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「いっそ大学の図書室で勉強してたらどうだ? 私服だったらバレやしねぇだろ」
「ええぇーそんなことしていいんですか?」
「俺が許す」
「もぉー、行動を起こすのはおれですよ? 兄さま」
厄介事になったら災難に遭うのは自分だ、那智は率直な意見を言ってくる。
確かにな。俺は一笑した。
「昨日、担任も来たみたいですし……今日の午前中は保健室に行ってきます。お昼からは図書館に行こうかな」
「だったら待ち合わせするか。俺も午前中で授業は終わりだしな。昼飯でも一緒に食うか」
「兄さま、バイトは?」
「今日は何もねぇよ。暇な一日」
「じゃあ、おれが兄さまの大学に行きます。おれ、兄さまが連れてってくれた大学近くのパスタ屋さんに行きたいんです」
「また、あのパスタ屋か? てめぇも好きだな。どうせてめぇの好きなマッシュルームと鶏のクリームパスタを頼むんだろ? それしか頼まないもんな」
「えへへ、あれは癖になりますもん」
最近、食べてなかったから恋しくなった。
那智の子供らしい一面に俺は「そっか」と相槌打って綻ぶ。
那智も随分、年齢相応らしくなってきたな。
よく笑うようになった。
俺も家ではよく笑うようになった方かも。
こういう穏やかな生活が幸せっつーのかもな。
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