01. 学校風景

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那智と約束を交わした俺は一足先に大学に向かった。 本当はあいつを中学に送るつもりだったんだけど、談笑してたら時間が無くなった。 俺は那智に詫びてツマラナイ大学へと向かった。   大学は本当にツマラナイところだと思う。 勉強は別段苦じゃないんだが、人と関わらないといけねぇところがな。 大学は高校と違って人と関わることが極端に少なくなる。 それだけが救いなんだが、最悪な事に俺の通っている大学には高校時代のクラスメートがいる。 向こうから話し掛けてくるそいつ等。 俺はそいつ等と何故か関わりを持ってるという。   「治樹、おっはよう! 一こま目サボったな!」 講義室に入ると、馴れ馴れしく俺に挨拶してくるひとりの茶髪男。   高校時代のクラスメート、佐藤 優一(さとう ゆういち)。 誰からも愛されるような人懐っこい性格をしているそいつは、俺を見掛けるなり纏わりついて来た。 「朝から鬱陶しい」 素っ気無く返しても、 「相変わらずツンデレだなー」 へらへらっと優一は笑って席に着く俺の隣に腰掛けてくる。 相変わらずめんどくせぇ、こいつ。 なんで俺の隣に座って来るんだよ。別の場所に座ればいいだろ。席は沢山余っているんだから。 俺はワザワザ人と関わらないよう、前の席を取っているっつーのに。   「おい、なんで俺の隣「うーっす、佐藤。下川。もう講義室に来てたのか? 早いな」 今度は左隣に座ってきやがった。 あーくそ、俺は諦めて持参してきた文庫本を開くことにする。 自分の世界に入るには本が一番だ。   ちなみに俺の左隣に座って来たのは、早川 浩司(はやかわ こうじ)。 何故か俺に関わってくる不思議くんのひとり。 高校は違ったけど優一と仲が良いらしい。優一繋がりで俺にも関わってくるようだ。興味ねぇけど。   「治樹は相変わらず小難しそうな本を読んでるな。何それ? ……経済統計論? おっもしろくねぇ! 官能小説とかじゃねえの?!」 「佐藤、朝からその単語はNGだぞ」
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