06. 撒かれる感情

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「関係ねぇ話かもしれねぇが、下川治樹の友人が行方不明だって?」 「はい。先ほど部下から入った情報なのですが、佐藤優一という青年が昨晩から行方不明。それから高村彩加が重傷を負っているそうです。彼女は不可解な事を口走っているとか」 「不可解? というと?」 「『全部話したら迎えに来てくれる。彼女にしてくれる。彼はそう言ったの!』 なんて言っているそうです。どうやら彼女は下川治樹に片恋を抱いているようで」 「はぁー……そりゃまた厄介な。あの野郎、その女性に何を吹き込んで、何を仕掛けやがった」 益田は懸念を抱く。 柴木も同意見だった。 策士である下川治樹は何を、何を……仕掛けた? 必ず意図がある筈だ。 しかも自分にとって得のあることを、仕掛けたに違いない。
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