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ところかわって福島朱美の住むアパートにて。
午前中は大学、午後はバイト、帰宅したのは夜九時過ぎ。
くたくたになって帰宅した朱美は、浴槽に湯を張って入浴している真っ最中だった。
今日一日の疲労と汚れと垢を落とすために、半身浴を楽しんでいるのだが朱美の心は曇っていた。
大学で友香から聞いたのだが、彩加が重傷の怪我を負ったらしい。
しかも浩司曰く、「優一が行方不明みたいなんだ」憂慮を抱きながら眉根を下げ、付け加えて兄弟が病院から逃走したことを聞いた。
逃走したのは事件の犯人だった、から、なのだろうか?
なんだか自分の周りで騒ぎや不幸ばかり起こっている。
それを朱美はとても悲しく思った。
楽しく愉快に暮らしたい彼女は、こういった暗いニュースが大の苦手だったのだ。
今日は行けなかったが、明日、友香と浩司で見舞いに行くつもりなのだ。
浩司がついて来るのは、彼なりの優しさだろう。
親しい仲ではないが、自分達について来てくれると言う。
そのために車を出してくれるとか。
浩司は車の免許を持っているのだ。
浩司の有り難い申し出を受け入れた朱美は、明日の予定を脳内で立てながら入浴を楽しむ。
小一時間ほど入浴を楽しんだ朱美はそろそろ出ようと、浴槽から上がる。
水気をよく拭き取り、タオルで髪を拭きながら下着や寝巻きを着ていく。
しかし上はブラのままだった。
まだ上がったばかりで暑いから、後で寝巻きを着ようと思ったのだ。
上着を腕に掛け、鼻歌を交えながら部屋に入る。
カチンと朱美は固まった。
何故ならば、部屋にいる筈も無い人がいたのだ。
だって自分は一人暮らしなのだから。
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