06. 撒かれる感情

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ベッドの上に腰掛けている人物は足を組んで、放置されていた雑誌を眺めていた。 興味無さそうにファッション雑誌を眺めていたその目を此方に向け、「あ」声を漏らしてくる。 同じくベッドの上に腰掛けていた人物は、「わぁ」っと声を上げて目を背けた。 「ピンク。ナナシ女のクセにブラ、ピンクなのか」 「し、し、しもかっ、」 何故に自分の部屋に下川兄弟がいるのだ。 これは夢か? 夢なのか? 酸欠に陥った金魚のように口を開閉する朱美、対して治樹はフーンと鼻を鳴らした後、 「胸、ちっせぇな。ぜってぇAだろ?」 コンプレックスを指摘。 「に、兄さま」 それは思っても口に出してはいけない、那智の注意は既に意味を成さず。 わなわなと怒りに震える朱美は、 「下川ぁああああああァアアアアアア!」 「あ、馬鹿っ! いてぇって!」 寝巻きの上着を鞭のように振るって、バチバチと無礼者を叩いた。 不法侵入者は暴力反対だと抗議の声を上げるが、法を犯した者に言われても無意味である。 「変態! エッチ! スケベ!」 「べっつに俺は那智にしか興味ねぇっつーの! さっさと服着ろ。谷間が見えるぞ。あ、ねぇな。悪い」 「こ、こいつっ!」 「兄さま、火に油ですって」 「那智。人はな、正直にならねぇといけねぇ。あのナナシ女の胸を見て、谷間あるように思えるか? どうだ? ん?」 「え……えぇえ。おれに聞いちゃいます?」 「兄さまにだけ、こっそりと正直に言ってみろ」 「えーっと……」 「しーもーかーわー。あんたっ、ホンッキでぶっ飛ばすわよ!」    
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