06. 撒かれる感情

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朱美は三人分の紅茶を淹れて、兄弟と共にシュークリームを食べ始めたのだが(毒は仕込まれていなかったようだ)、ふと我に返って今の状況を冷静に分析。 警察に追われている不法侵入者兄弟とスイーツを召し上がっているなんて、大層おかしい話ではないか、と。 シュークリームに齧り付きながら、朱美は治樹と那智を交互に目を向ける。 美味しいおいしいとシュークリームを食べている那智と視線が合い、彼はへにゃっと笑ってきた。 思わず此方も微笑を返す。 嗚呼、こういう子を弟に出来たらなぁ……。 残念ながら自分は一人っ子、兄弟姉妹がいないため、弟がいる治樹が羨ましく思った。 「やっらねぇからな」 ドドドドド不機嫌に呻く弟馬鹿がガンを飛ばしてきた。 相変わらず弟一筋な奴だと呆れながら、朱美はまたシュークリームに口に入れる。 「で、下川。どうしてあたしのところに?ただ別れの挨拶をしに来たわけじゃないでしょ」 「…まあな」 「用件は? 30文字以内、単刀直入に述べよ」 間を置いて、治樹が口を開く。 「福島、てめぇさ。風の噂で聞いたんだが、一年とちょっと前に親父の様子がおかしくなったことに気付いて、その原因を掴もうと国立K大学に入学したんだろ?」 何故それを……それを知っているのは限られている。 安河内友香、それから高村彩加の二人に限られている。 瞠目する朱美に治樹は構わず続けた。
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