07.あらすじに補足

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大きな懸念を抱いていた矢先、娘が息子の大学に通うと言い出した。 強い反対を見せれば不審がられると、奴は渋々許可は下ろしたそうだ。 国立K大学はマンモス校、そう簡単に俺等がはち合うことも無いだろう。 ポジティブポジティブに考えていたが、娘は様子が変わってしまった親父を心配して、親父を追い詰めているが学生を捜していた。 親思いが災いを呼んだ。 娘はある一人の女に目を付けられ利用、俺等と娘の関係の真実を握り、親父に会った。 女は親父に動揺する話を持ちかけた。 娘が自分を追い詰めている学生を捜していること、またその学生が傍にいること、学生が娘と険悪な仲なこと。 このままだと真実が知られる上に、娘も危うくなる。 女の誘いに乗った親父は、実の息子達を消そうと決めた。 どんなに金が掛かっても、家族に真実を知られるわけにはいかない。 知られたら自分の居場所が、信頼が、愛情が無くなる。 親父は家族を守ると表向きで言いながらも、結局は自分のために物騒な案を母親に持ちかけた。 丁度俺等の存在を疎ましく、また脅威に感じていた母親もそれに乗り、鳥井が刺客として俺等のもとに送られた。 だけど程なくして母親が死亡したとニュースで知る。 俺等が行方不明なことに親父は安堵したに違いない。 どうかこのまま何事も無く、平穏な日々が訪れますように、なんて神様に願ったかもしれねぇ。 そんな願い、神様とやらが聞き届けてくれる筈もねぇけどな。 俺等が発見されたと知って、親父は心底肝を冷やしたことだろう。 あいつは一度も見舞いにはきたことなかったが、見張らせていた鳥井曰く、何度か病院は訪れていたらしい。 もしかしたら俺等を殺そうと、計画を企てていたのかもな。 だが俺等は逃走した。 今、あいつは酷く怯えているに違いない。 「さあて仕上げはお電話ですかね。ほら、若旦那」 「ああ」 俺は鳥井から携帯を借りて、ある場所に電話を掛ける。 そりゃ何処か? 答え、親父の会社。
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