07.あらすじに補足

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親父はこれから、俺等に何を奪われるか怯えた生活を送るだろう。 そして俺等に何を奪われたか気付いた瞬間、絶望を味わうんじゃないかと思う。 せいぜい苦しんで欲しい。 ふたりぼっちの世界を壊そうとした奴なんだ、死ぬほど苦しんで欲しい。 ふと福島との出会いや会話、その他諸々が脳裏に過ぎる。 あいつ、ほんとうもいけ好かない女だったな。 出会いから最悪だったし、口喧嘩は絶えなかったし、お節介焼きだし、けど他人に一々優しさを持ってる女だった。 福島を利用したことに罪悪があるか、聞かれたら俺は何も答えられねぇ。 殺してやりたかった、という気持ちもないわけじゃない。 あいつは愛されていた子供、暴力を知らない子、俺達に与えられなかった愛情を貰っていた娘。 福島を殺せば親父は発狂し、別の地獄を見ただろう。 けど、それより最愛の家族から咎められ、見切られる地獄を見た方がよっぽど苦しいだろう。 福島自身への復讐にもなる。 親父を信じていた、その現実を砕かれ、あいつは相当苦しむだろう。 ……だが、なんだ、このもやっとした気持ちは。 優一の時もそうだが、二人に関しちゃ罪悪を感じてるかどうか分からない。 ただ気持ち的に沈む時がある。 母親に対しての罪悪は欠片も持っちゃねえ。寧ろ清々した。 けど二人に関しちゃ、高村も含む利用した奴等に関しちゃ罪悪、どうなんだろうな。 福島朱美、俺達とは対照的に愛されていた子供、か。 些か、第二の俺はあいつに興味を抱いていたのかもしれない。 誰彼構わず、強く、優しく、気丈に振舞う女に、少しばかし興味を抱いていたのかもしれない。 俺がまともだったら好いてたかもな、ああいう気の強いいけ好かない女。 今の俺じゃぜってぇねぇけど……どうなんだろう、俺自身の真相は謎のままだ。 「若旦那が殺した青年さんの死体は、こっそりと墓建てる、で良かったのか?」 弁当を食い終わった鳥井が、ビニール袋にソレを片付けながら俺に問いかける。 俺は頷いた。 山海に捨てるよりかは、マシだろ。 捨てたら見つかる可能性もあるしな。 「誰も墓参りになんざ行かないだろうがな」 「そんなこと言って。自分が行ったりして」 「殺すぞ」
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