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「イッタっ!」
愛しさが溢れてこの斗眞への愛情をキスで伝えようとしたら、次の授業に使うために用意されていた教科書で頭を叩かれた。
「ここ教室」
「いいだろ別に。誰も見てるやついねえじゃん」
昼休みは雑然としてるし人もまばらだから誰も見てない。そう思って頭をさすりながら周りを見てみると、
「あっ」
「でしょ?」
廊下側の一番後ろの席、何人かの生徒に囲まれている矢嶋が人と人との隙間からこっちを見ていた。
その顔には何の感情もなく、オレたちを見ている目はどこか敵意さえ感じさせるほど強いものだ。
だが次の瞬間にはふっと表情を緩めて笑いかけてきた。それがなんだか不気味でオレは無視するように斗眞へと向き直り、まったく関係ない話題を振ってその場を誤魔化した。
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