予感

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 甘ったるい匂いが斗眞から強烈に放たれていて、抱きしめて頭を嗅ぐと髪からも同じ匂いがしている。 「あ~、オレの好きなシャンプーの匂いが消えてる」 「あはは。じゃあ今日のはもういらないね。もう一個あるんだけど捨てちゃおうか?」 「いいよ。立花好きそうだから明日あげれば?」  なんでも嫌なものを押しつける……わけじゃなく、おすそわけだおすそわけ。 「好きかなぁ?まあお試しってことでいいか」  ネットを見てると珍しいものや変わったものをよく見かける。それを使うかどうか考えてから買うんだが、たまに失敗したものなんかをよく四人で共有するのだ。  あくまでもこれは共有であって押しつけではない。  今斗眞は入浴剤にハマっていて、変わった匂いを見かけるとポチっている。今日のもそのうちの一つで、聞いたこともないような匂いの入浴剤を入れていた。
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